サタケの技術力
日本初の動力式精米機からはじまったサタケは、国内で唯一、稲の加工から炊飯までの工程をワンストップで提供可能な機械を取り揃えています。現在の地位を築いた技術力こそ、サタケ最大の強みであり、未来に向けてさらなる発展を支える糧となります。ここではサタケの主な技術を紹介します。
事業分野概要Scope of business






主な事例examples
酒造精米の変革で新たな市場を創出

日本酒の原料といえば米。酒造りは、この米を磨くことから始まります。
玄米表面を覆うぬかはもちろん、通常ご飯として食べる胚乳の部分も20~30%、場合によっては50%以上削り取ってから、酒造りに使用する場合があります。なぜ磨く必要があるかというと、雑味や異臭のもととなるタンパク質や脂質が胚乳の表面に近い部分に多く分布しているからです。「磨けば磨くほど旨い酒が造れる」と言われるのはそのためです。
酒の原料となる米を精米するために使用されるのが「醸造精米機」ですが、従来の精米機で磨いた米は長手方向が多く削られ丸っこい形状となる「球形精米」が主流でした。原料の削りすぎを抑え、タンパク質や脂質を効率的に除去するためには、米表面から均等な厚みで削る「扁平精米」のほうが適していますが、これまでの精米機では時間や手間がかかるため、あまり行われていませんでした。
2018年、サタケは新型醸造精米機を開発しました。同機は高硬度cBN砥石の採用で米を削る能力が大幅に向上、扁平精米を行う際にも従来より短い時間で効率よく米を削ることができるようになりました。精米歩合40%(60%を除去して残りが40%)の球形精米と精米歩合60%の扁平精米が同等のタンパク質含有量となるのですが、新型機での両者の精米時間を比べると、60%扁平精米は40%球形精米の約2/5の時間で精米できます。これにより扁平精米がより実用的になったといえます。
サタケは、この扁平精米とそこから生み出される、米・酒・技術に対して「真吟」と名づけました。地元・広島はもとより、志を同じくする全国の酒蔵様と協力しながら、酒造精米の変革によって新たな市場を切り拓こうと、今、さまざまな取り組みを進めています。
光学技術とAIの融合で選別技術を深化

光選別機とは、光学的手法で原料の良し悪し、異物混入などを判別して除去する機械です。1930年代に欧米で実用化されたのち、サタケでは1979年に米用途として開発しました。基本的な原理は、シュートまたはベルトコンベアを流れてくる原料1つ1つをカメラがチェックし、正常な原料と色が異なるものを不良品・異物と判断して、エアノズルからの空気噴射により取り除く、というものです。
当初はモノクロカメラだったものが後にフルカラーカメラに変わり、より微妙な色の差を識別できるようになったほか、近赤外線カメラが搭載されるようになると、原料(米)と同色の石やガラス、プラスチックなど、材質の異なるものも識別できるようになりました。
2021年、フルカラーカメラ・近赤外線カメラに加えてX線カメラ を搭載した新型機を開発しました。X線では原料密度の違いを検出しますが、そのままでは厚みの薄い良品か虫食いの不良品か判別できません。そこで新型機ではAIを活用、半分に割れた原料や部分的に薄くなっている原料、内部に虫食い穴のある原料などをディープランニングによって学習させ、高精度に識別できるようにしました。
穀物・農産物はもとより、食品業界やプラスチック業界など、選別を必要としている業界は多くあります。安全・安心を担保するため、省人化・自動化を進めるため、さらなる選別技術の深化で多くの方々の力になりたい、サタケはそう考えて開発に取り組んでいます。
IoTで工場の効率化を加速

精米工場などの施設には、荷受け・選別・精米・貯蔵・計量包装・出荷というように多くの工程があり、さまざまな設備・機器が稼働しています。そして各工程では、日時・年産・産地・品種など履歴情報の管理や帳票の出力が必要です。
サタケはこれら工場運用管理のための新たなシステムを、2019年に開発しました。「精米生産の匠」と名付けた新システムは、業界初のクラウド型システムです。
クラウド型のメリットは
①工場の稼働状況がどこからでも確認できる
②OSや端末に依存しないため更新作業が不要
③バックアップはサービス側での一括実施で、利用者の作業は不要
などがあります。複数工場を運用している場合でも、手間をかけることなくすべての情報を効率的に閲覧できます。
また、在庫量や受注量などをもとに、最も効率の良い生産計画を自動作成することも可能となりました。これまで長年の経験が必要で、急な計画変更への対応が難しかった生産計画立案業務が、ベテランでなくても迅速に行えるようになったのです。
ベテラン社員から若手へのノウハウ継承、そして人手不足が課題となる中、精米工場各工程の効率アップとともに、それらを有機的に結び付けさらに効率よく運用するためのシステム作りを、IoT技術も活用しながらさらに進めています。
未来へのチャレンジ
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地域再生活性化事業の取り組み「豊栄プロジェクト」
サタケは東広島市豊栄町をモデル地区とし、持続可能な農業を実現するため、六次産業化を柱とした地域再生活性化事業に取り組んでいます。(第一次産業×第二次産業×第三次産業=第六次産業)
例えば、
①農業生産法人「賀茂プロジェクト」が原料米を生産し、
②「サタケ豊栄」が米を加工(GABAライス、米粉)し、
③レストラン「豊栄くらす」でGABAライスを使ったメニューを提供する
というように、生産・加工・販売が連携することで収益向上を図り、持続可能な農業を実現します。また、50年以上の歴史を持つ観光りんご園の経営を継承したり、東広島市が主導するブランド地鶏の生産に参画するなど、地域の生産者や事業者とも連携し、新たな産業の振興に取り組んでいます。





これからのサタケの可能性




「前人未到の事業だからこそ、成し遂げねばならない」との創業者の魂は、一世紀以上にもおよぶサタケの歴史の中で脈々と受け継がれ、常に一歩先の技術で業界をリードしてきました。食を通してもっと元気な人をつくるために、持続可能な農業を実現するために。その実現にはどんな技術やアイディアが必要でしょうか。
「今までにないもの」や「ユニークなもの」をつくりたいと思う気持ちをサタケは歓迎します。あなたの力を発揮できる環境を整えて待っています。