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味噌を通して世界に貢献するマルコメ

2007.11.08

平成19年11月8日

ユーザー紹介

味噌を通して世に貢献するマルコメ

--- 食の安全・安心と品質向上に全社一丸で取り組む老舗 ---

マルコメ本社

マルコメ本社

昨今、健康志向の高まりや日本型食生活への注目などを背景に、海外において日本食が人気となっている。その一端を担っているのが、日本の伝統的な食文化を継承しながら、品質向上や食の安全・安心へ不断の努力を続けている食品メーカーである。日本の伝統食は数多く存在するが、中でも味噌はその代表格であろう。このたび、サタケのフルカラーベルトソーター(光選別機)を7台導入し、さらなる製品の安全性と品質向上に挑戦する味噌最大手のマルコメ株式会社(長野市安茂里883番地、代表取締役社長 青木時男氏)を訪ね、味噌づくりへの思いや取組み、今後の展望などについて取材した。

代表取締役社長 青木時男

代表取締役社長 青木時男

信州味噌はブランドなり

誰もが一度は聞いたことがある「信州味噌」。それほど広く認知された名前であるが、この名前が登録商標であることをご存知の方は少ないのではないだろうか。信濃国(現在の長野県)で味噌づくりが普及し始めたのは、かの武田信玄が行軍用の兵糧として造らせた「川中島溜り」が起源とされている。「川中島の戦いでも食料としての味噌は貴重品だった」と語るのは、マルコメ株式会社代表取締役社長の青木時男氏である。「痩せた土地にも栽培可能なそばと大豆は長野で多く作付けされたが、信州味噌としての名が知られるようになったのは関東大震災がきっかけだった」(青木社長)。この大震災により東京のほとんどが壊滅状態になったが、このとき救援物資として送られたのが信州味噌であった。この味噌が格別の好評を得て信州味噌の名が知られるようになったという。その後、信州味噌がより広く認知され、現在に至るブランドとしての地位を築いたのが終戦直後の長野県味噌工業協同組合連合会の対応であった。灰じんと化した東京に長野から品質の良い味噌を送り込み評判となったが、終戦直後の物資難の中、一部大豆以外の芋やとうもろこしから作った他県の味噌も横行した。このとき長野県では同組合の提唱により、長野県味噌検査条例を公布。厳重な品質検査を定期的に実施、品質管理に万全を期した。昭和30年、団体商標「信州味噌」が登録許可となり、全国に「信州味噌」の名が知れ渡るようになった。しかし、これは単なる広告宣伝のためではなく、同組合の団体商標使用規則に「組合員は、本商標を組合が旧規則によって定めた『信州味噌検査規程』及び『信州味噌検査規程施行細則』の基準に達しない製品に使用してはならない」とあるように、信州味噌の品質に適合したものだけに商標使用を認めているのである。現在では米味噌として信州味噌が全国で約4割のシェアを占めており、まさに信州味噌はブランドなのである。

マルコメ商品群

マルコメ商品群

マルコメ君

マルコメ君

マルコメは味噌汁の伝道師

マルコメは、1854年(安政元年)に味噌と醤油醸造業を開始、今年で153周年を迎えた老舗である。1948年(昭和23年)に青木味噌醤油株式会社として設立し、1967年(昭和42年)にマルコメ味噌株式会社に改称。その後、1990年(平成2年)にCI(企業イメージの統合)を導入し、社名を現在のマルコメ株式会社に改称した。現在、商品アイテム数約600種、年間約9万5000トンの味噌を生産する最大手の味噌メーカーである。また、「マルコメ君」のキャラクターはつとに有名で、昭和52年から始まったテレビCMのマルコメ君も、現在は13代目になっている。商標である「○米」のマークは、味噌の原料となる「大豆と米」を表している。本社のある長野市は内陸部の盆地であり、味噌づくりに適した比較的冷涼な気候である。さらに平成16年には、信州安曇野の美麻高原に白壁づくりの「長期熟成天然醸造蔵」を建設。平地よりも夏場の気温が5度ほど低い標高1000mの地で、味わい深い風味豊かな天然醸造味噌をつくるこだわりも持っている。 青木社長は、「味噌(汁)は1000年以上続いてきた日本伝統のものであり、大切にしてゆく必要がある。日本では味噌の消費量が伸び悩んでいるが、食育が必要とされる中、皮肉にも海外で需要が伸びている。これは味噌の良さに気づきはじめたのであり、美味しさだけでなく健康食としてさらに広がってゆくだろう」と語る。東欧、アジア(特に中国・韓国)、アメリカ、オーストラリアへの輸出が伸びているという。これに呼応するように、現在アメリカに工場を建設中で12月に稼動開始である。いずれ、味噌の良さが逆輸入として日本に入ってくるかも知れない。一方、海外での展開で気をつけなければならないことは、日本食文化の正確な伝達である。「だしを取らない味噌汁」「沸騰させすぎの味噌汁」など、味噌汁の作り方が正確に伝わらないために、「味噌汁はあまり美味しくないもの」という誤った認識を持たれるのが怖いのだ。しかし、これも解決策が誕生している。「みそ汁サーバー」という業務用の自動味噌汁供給器を開発し、レストランなどの厨房に設置しているのだ。これにより美味しい味噌汁が安定的に供給され、かつ厨房の合理化にも役に立っている。すでに国内でも約3000台が設置され、海外でも今後設置が増えてくるという。「世界に誇れる味噌。気概を持って伝え挑戦する」と、青木社長は攻めと守りのバランスを保ちながら熱く思いを語る。

感性と合理性の融合

味噌づくりで重要なこと、欠かしてはならないことはハード・ソフト両面で様々あるが、「五感が大切だ」と青木社長は言う。例えば、温度や湿度の違いによっても味噌づくりに影響をもたらす。このとき、データも大事ではあるが、研ぎ澄まされた五感によって微妙な変化に対応することが、味噌のような発酵食品には必要とされるのである。この感覚を磨くには経験やノウハウが必要であるが、青木社長は「ノウハウを自分だけが囲い込むような、みみっちいことをするな」と社員に指導している。自分の考えやノウハウを表明し、それを社員が共有することの重要性を説いているのだ。明るく、前向きな姿勢と自己研鑽、そしてバランスを保つことが何より大切なのだと言う。それが美味しく高品質な味噌づくりにつながるのである。 日本の伝統的食品である味噌を長きに亘り継承してきたマルコメであるが、企業経営の面から見ると現代感覚にあふれた合理的手法とマンパワー活用を行っている。青木社長は、重要な経営理念として、次の5項目を挙げている。

①スピード:現代の熾烈な競争時代に「伝達」もスピードが求められる。マルコメでは週1回のテレコム会議を実施し、工場と支店営業所とで迅速かつ効率的な情報共有を行っている。また携帯電話を駆使したeセールスマネージャー(営業支援システム)も積極的に活用し、これも迅速な情報入手と共有化により顧客サービスの実化などを図っている。

②自己責任:自己主張は自己責任に基づいているものであれば全面的にOKであり、そういった提案はできるだけ実施させている。そういった風土が大事であり、何もせず「だんまり」を決め込んではいけない。

③ネットワークコミュニケーション:味噌づくりは1人でできるものではなく、多くの人や行程を必要とする。そのためには組織全体で情報や考え方を共有することが重要となる。

④コストダウン:常にコストダウンを図り、非効率的なことや無駄を排除することが大切である。

⑤専門化:各自が専門スキルを磨くことが重要であり、また会社には半分オタク的な人も必要である。 

このように、感性の中にも合理性を積極的に取り入れた経営をしている。「古くて新しい」、それがマルコメなのである。

味噌製造工場の一棟

味噌製造工場の一棟

マルコメ本社見学コース

マルコメ本社見学コース

食文化を守るマルコメ

マルコメの味噌づくりには、伝統、新技術、マンパワー、そして経営理念のバランスが見事に具現化されている。それは153年間にわたる味噌づくりへの「矜持」であり、淀むことなく新しいことへ挑戦している「不易流行」ではないだろうか。「日本は戦後、世界で発明・創作されたものを改良し、品質を高めて世に出すということを行ってきた。それはある意味一番効率的で経済力を高めるものであったが、近年、近隣諸国が日本に追いついてきており、その成功図式が成り立たなくなってきた。しかし日本には古くから高いレベルのものがあった。それが食の文化である」と青木社長は言い切る。そしてこの高いレベルの食文化を世界に発信する必要があるという。長年にわたる味噌づくりに貢献してきたマルコメ。社長の言葉にも説得力が感じられる。「豆を作ることが日本のためになるのだという大志を持たないと、日本は滅びる」(青木社長)という使命感と危機感がマルコメの原動力と言っても過言ではない。昨今、消費者の食に対する目は益々厳しくなっているが、この点について青木社長は「最近は、お客様(消費者)の商品知識が度になっている」と語る。そのためマルコメが取り組んでいることは、工場やバックヤードを消費者に見せる(公開する)ということである。消費者に包み隠さず製造工程や品質管理機器を見せることにより、消費者が求める製品品質を確認してもらい、かつ安全・安心へのマルコメのメッセージとなるのだ。事実、工場内は見学者通路や各種説明パネル、資料などが分かりやすく整然と配置され、初めて訪れた見学者も楽しく製造工程や味噌のことが理解できるようになっている。今や安全・安心は食の重要なキーワードであるが、今夏、サタケの光選別機フルカラーベルトソーター(CS300BIC)を一挙に7台導入した。最新の光選別機により原料大豆を徹底的に選別し、より高品質で安全な味噌づくりを目指したものである。

臼井俊弘ゼネラルマネージャー

臼井俊弘ゼネラルマネージャー

フルカラーベルトソータ-

フルカラーベルトソータ-

フルカラーベルトソータ-

フルカラーベルトソータ-

安全・安心のマルコメ

マルコメの「食の安全・安心」についての取組みを詳しく語ってくれたのが、生産本部 第三製造部ゼネラルマネージャーの臼井俊弘氏である(以下、臼井GM)。臼井GMは製造全般を管理しており、工場内を忙しく駆け回る。工場運営でいつも心がけていることは、「人の口に入る食品なので、安全・安心が最も重要である。それには人間の目で見る部分と、人間の目をカバーする部分が必要」という。つまり「人+設備」の組合せにより、安全・安心とクレームのない商品の生産につながるのだ。現在、9年前に導入したカラーソーターと、前述の7台のフルカラーベルトソーターの追加導入により、計10台で大豆の選別をすべて自社で行う態勢を整えた。それは「安全・安心力の高まりである」と臼井GMは自信を見せる。コーンなどの異物混入の防止だけでなく、異物ではないが茶豆(やや茶色がかった大豆)も色的な問題から選別除去している。また、麹の原料となる米も光選別機(サタケファイナルソーター)で選別しており、味噌の原料に対して厳しい品質管理を行っている。最近はお客様からの問合せも、原材料に関するものが多くなったとのことで、常に細心の注意を払い、原材料入荷から製品出荷まで厳しい品質管理が求められる時代になっている。その意味からもマルコメの安全・安心への取り組みを最重視している姿勢が伝わってくる。 「農産物は工業製品と違いロットにより差が出る」(臼井GM)。たとえば、原料となる大豆は常に水分が一定状態というわけではない。そのため、入庫原料の状態を読んで製造条件を早く見つけなければならない。また、味噌は製品になるまで白味噌系で2ヶ月、赤味噌系で3?4ヶ月、美麻高原蔵味噌では2年以上もの長期熟成期間が必要とされ、その間の管理が極めて重要となる。そこには青木社長の「五感が大切」という言葉が活きてくる。しかしそれだけではない。長野本社にはマルコメ中央研究所があり、常時50名ほどのスタッフが製造段階および製品の分析や新商品の開発を行い、科学的、数値的分析と管理をしっかりと行っている。これもまた「感」と「理」の融合である。

衛生的な製造ライン

衛生的な製造ライン

マルコメ商標マーク

マルコメ商標マーク

世界に貢献するマルコメ

マルコメは本年10月、日本経済新聞社主催の第56回日経広告賞の「コーポレートブランド広告賞」を受賞した。受賞広告のボディコピーの前半部分にはこう記されている。「思えば、お味噌はあまりにも無口でした。どんな時もそばにいて、日本人のからだと健康を、ずっと支えてつづけてきたけれど、そのことを特別に語ろうとしたことはなかった。でも、それは違う、と思いました。からだにいいものは、そのことを伝えなければいけない。伝えることで、お味噌大切さに気づく人を、ひとりでもふやさなければいけない。そう思ったのです」と・・・。海外でその良さが認識されつつある味噌。その良さを日本人に再認識してもらうには「伝える」ということが大切であると言っている。良いもの、守るべきものを愛し、伝えてゆくこと、それはマルコメの日本人に対する強いメッセージであり、これからも続くマルコメの歴史を刻む使命とも言えるであろう。そして世界に貢献する姿がそこにある。

最後にキャッチコピーがこう続く。『お味噌は、からだと生きていく』。




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(本件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)
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