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青森県最大のCE 高効率運用で経営基盤を強化

2012.07.11

2012年7月11日

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青森県最大のCE 高効率運用で経営基盤を強化

― JA津軽みらい・平川カントリーエレベーター ―

 JA津軽みらい(青森県平川市本町北柳田23-8)で本年4月、新たなカントリーエレベーターが竣工した。8,000トンという貯蔵能力は青森県下で最大、全国でも第4位の規模だ。そのスケールメリットを最大限に活かすために、運用効率を高めるしくみが随所に取り入れられている。コストの低減と品質の向上を実現した新たな施設によって稲作経営基盤の強化を目指す、同JAの取り組みを取材した。

JA津軽みらい 平川カントリーエレベーター

 青森県といえば言わずと知れた日本一のりんご生産地。青森県のりんご産出額は実に国の50%以上を占め、品質・食味においても高い評価を得ている。また鮮度を長期にわたって維持できる貯蔵設備が整備されており、一年を通して鮮度の高いりんごを供給できることも、支持される理由のひとつだ。県内でも特に栽培が盛んな津軽地方では、緩傾斜地を中心に、広大なりんご園がいたるところに分布している光景が見られる。西に岩木山、東に八甲田連峰を臨み、世界遺産・白神山地を水源とする岩木川、十和田湖付近を水源とする平川と浅瀬石川が、肥沃な津軽平野を潤している。

阿保直延 代表理事組合長

津軽平野で、りんごと並ぶ主要農産物といえば米、つがるロマンだ。この地域は良質米を生産する穀倉地帯としても知られている。津軽平野に位置する平川市、黒石市、藤崎町、板柳町、田舎館村、弘前市の一部を管内とするJA津軽みらいでは、この春新たに「JA津軽みらい平川カントリーエレベーター(以下CE)」が竣工した。8,000トンの貯蔵能力を持つ同CEは、JA管内作付面積の約半分をカバーし、県下で最大、全国でも第4位の規模を誇る大規模施設だ。

入庫用トラックスケール

 同JAが新たなCEを建設した背景について、「最大の目的は生産コストを削減するため」と断言するのは阿保直延代表理事組合長。もともと同JA管内には、既存のライスセンター(以下RC)とCEが合わせて5か所にあった。いずれも耐用年数を経過し、今後使い続けるとすれば毎年それぞれに補修費用が必要であると見込まれていた。これらのメンテナンスに掛かる費用はJA、ひいては利用者である農家への負担につながることになる。ここで新たなCEを建設し乾燥調製作業を集約すれば、結果的にメンテナンスなどの運営コストを大幅に削減できると考え、建設を決めた。

ピカ選GRANDエアーユニット

 しかし一方、これほどの大規模施設で、しかも「つがるロマン」という単品種を生産するという地域の特性上、収穫時期が重なりCEでの荷受け作業が集中することは避けられない。その点について同CEでは、荷受け作業をスムーズに進めるためのさまざまな新しい工夫が施されている。
 まず荷受量の測定にはトラックスケール方式を採用しており、それぞれ入庫用と出庫用のトラックスケールで計量した値の差分をもって荷受量が算出される。このトラックスケールは出庫用が1車ずつなのに対して入庫用は2車同時に処理できるようになっていて、入庫作業でのボトルネックを解消できるようになっている。入庫用トラックスケールでは、重量の計量とともにサンプル籾の収集を同時に行う。収集されたサンプル籾は、エアー搬送によって瞬時にテストドライヤーに送られ乾燥された後、自主検定装置に送られ品質や歩留りの計測を行うのだが、ここまではすべて自動で処理されていくため人手が掛からず非常にスピーディーだ。

 トラックスケールを通過した車両は4系統ある荷受ホッパーに籾を投入すると、あとは出庫用トラックスケールを通過するのみ。これなら大量の生籾を荷受する場合でも、迅速に作業を進めることができる。

米穀部・工藤久雄部長

 また、大規模で効率が良いというだけでなく、5か所の施設でそれぞれ行っていた乾燥調製作業を一つの施設に集約することは、米の均質化・高品質化においても非常に有利だ。同JAではJA全農あおもりが進めている青森クリーンライス(農薬節減米)の基準にのっとった米の生産に積極的に取り組んでいる。これは「売れる米づくり」のため、また「安全・安心な生産体制の確立」のため、全生産者が農作業記録簿を記帳し、JA及び全農により確認された米を集荷する、というものだ。

 農薬節減と品質向上の両者を成り立たせるためには、光選別機が欠かせない。同CEでは毎時3.6トンの玄米を選別できる「ピカ選GRANDエアーユニット」を導入しており、原料中に混入する着色米はもとより、石や樹脂、ガラスなどの異物も見逃すことなく除去することができる。この光選別機が、2系統ある籾摺調製ラインにそれぞれ1台ずつ設置されており、能率を落とすことなく安全安心を担保しうる設計となっている。

サイロ頂上部より岩木山を望む

 このように、高効率・高品質を実現する最新鋭の乾燥調製貯蔵施設である同CEがもたらすメリットについて、米穀部・工藤久雄部長は「コストダウンによって農家に還元できるということが一番大きい」と話す。地域の農業を維持していくためには、再生産可能な収益がなければならない。高能率でコストメリットのある施設を利用してもらうことで、地域農業の経営基盤強化につなげたい、という思いが強く伝わってくる。
 また同JAでは食料自給率向上のため、乾燥調製施設の集約化によって余剰となった尾上RCおよび尾上CEを活用し、今後は飼料用米の生産拡大にも取り組んでいく。同JAの取り組みは、管内の農業振興という次元にとどまらず、日本の料自給率向上の面でも大きく貢献していくことになるであろう。

(了)

参考

JA津軽みらい平川カントリーエレベーターの概要

  • 事業名  :食料自給率向上・産地再生緊急対策交付金
  • 事業年度 :平成22年度(補正)
  • 事業主体 :津軽みらい農業協同組合
  • 所在地  :青森県平川市大光寺一村井136番地2(TEL.0172-44-7155)
  • 施工管理 :全国農業協同組合連合会東北広域施設事業所
  • 設計施工 :株式会社サタケ
  • 工期   :着工 平成23年4月28日、完工 平成24年3月28日
  • 対象作物 :水稲(対象面積1,029ha)
  • 建築規模 :機械棟延床面積1,101.22m2、付属棟延床面積181.6m2、最高の高さ43.92m
  • 敷地面積 :19,999.64m2
  • 貯蔵能力 :8,000t
  • 最大荷受量:658.1t/日
  • 総事業費 :22億8,988万円(うち国庫補助金9億5,245万円、平川市補助金4億7,622万円)

(件へのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報室)

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