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株式会社米心石川 米と地元への真心経営

2023.06.27

No.23-012 / 2023年6月27日

株式会社米心石川 米と地元への真心経営

― 社長インタビュー「炊飯事業の現況と今後の取組み」 ―

 株式会社米心石川(本社:石川県金沢市松島1丁目1番地、代表取締役社長:寺田吉浩)は、石川県の豊かな水田で実った米を自社ブランド商品として米穀・炊飯事業を展開している。設立以来、米の消費拡大と安全・安心な食の提供を心掛けており、近年はおにぎりなど炊飯加工品に注力している。このたび同社を訪れ、炊飯事業の現況や今後の取組みについて取材した。

【石川県の魅力】

 「金沢はいい町だよ。地方の都市にしては華やかさがあり、歴史や文化を奥深く体現できる。能登地方も含め食や観光の宝庫だし、北陸新幹線の東京~金沢間開業と相まって活気がある」と、米心石川の寺田吉浩代表取締役社長(以下「寺田社長」)は語る。確かに、加賀百万石の城下町である金沢は、歴史と文化が色濃く蓄積した独特の「厚み」を感じさせる。食においても、農産物では「ひゃくまん穀」「コシヒカリ」に代表される米、梨の「加賀しずく」、高級ブドウの「ルビーロマン」、原木しいたけの「のとてまり」、海産物では「甘えび」「香箱ガニ(ズワイガニ)」など、豊かな里山里海に育まれた農林水産物が豊富である。一方、県民性について「石川県人はおおらかな人柄」(同)と表現したが、寺田社長のゆったりと味わい深い語り口からも見て取れた。

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兼六園

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ひがし茶屋街

【会社設立の経緯】

 株式会社米心石川(以下「米心石川」)は、石川県金沢市に拠点を置き、2007年に石川県米穀株式会社、北陸中央食糧株式会社、株式会社パールライス石川並びに石川県炊飯株式会社の4社が統合し設立された。翌2008年4月に新炊飯工場が完成し、北陸初の産業用ロボットを活用した「アームラック式IH炊飯ライン」を導入。次いで6月には、本社屋および新精米工場(多用途搬送システム)が完成した。IH炊飯ラインおよび多用途搬送システムはサタケ(本社:広島県東広島市西条西本町2-30、代表取締役社長:松本和久)製を採用し、併せて残留農薬測定装置、DNA品種判定装置なども導入して食の安全・安心と食味向上に積極的に取り組んできた。事業は「米穀事業」「炊飯事業」「商事事業」を三本柱として展開している。

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米心石川本社

【炊飯事業への注力】

 「精米だけでは広がりに欠けるので、事業を拡大するうえでも2007年の4社統合時(設立時)に炊飯会社があったのは良かった。当時は安全・安心への関心が急激に高まりを見せた時期でもあった」(同)。その言葉通り、1980年代末頃から個食化や生活の24時間化により中食が増え、炊飯需要も高まった。2000年代には集団食中毒問題、BSE問題、食品表示偽装問題など食の安全・安心を脅かす事件が頻発した。炊飯米は消費者が直接口にするものであり、その品質や安全性に対する評価が直截的である。ニーズや嗜好も常に変化、多様化し、消費者の厳しい洗礼を絶えず浴びることになる。一方、米穀(精米)は炊飯に比べ安定的とは言えるが、商品展開や販売先開拓の多様性は低い。寺田社長は、米穀と炊飯を事業の両輪としたうえで、難しい舵取りながら発展性が見込める炊飯事業に注力している。販売先は小中学校(学校給食)・大学のほか、スーパー(量販店)やドラッグストア・外食など数多く、おにぎり・お寿司・赤飯・おはぎなどを納めている。原料タンク(納米タンク)が18基、使用する食酢の種類が約30種もあることなどは全国的にも珍しく、さまざまなニーズに対応している証左である。また、米は石川県産の「ひゃくまん穀」や「コシヒカリ」、その他の原材料もできる限り県内産を使用し、県民に安全・安心な食を届けると共に、県内の農業・環境を守り、元気な地域社会づくりに貢献している。

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米心石川のおにぎり


 「炊飯はなかなか儲からない事業だよ」と寺田社長は苦笑いする。例えば水や食酢を使うため特別なメンテナンスが必要とされる。おにぎりやお寿司などの製造にも人手がかかる。精米事業とは異なる経費が発生するのは致し方ないところだが、寺田社長は「選択と集中が必要」と説く。販売先や消費者のニーズを敏感に捉えながらも、その情報を精査し価値あるものに集中しなければならない。製造工程の効率化や無駄の排除も選択と集中である。従前の手法やシステムを見直し、ユーザーと自社双方の利益向上を図らなければならない。炊飯事業者としておいしいもの、安全・安心なものを提供するのは当然であるが、事業の安定化や新商品開発の投資などに利益確保は必要である。寺田社長は「地元の農家が作った、お米を中心とする農産物を、真心込めて安全・安心な食品として地元の消費者の皆様に安定的にお届けする」を旨とし、それを継続・発展させるために、常に経営トップとしての判断を下している。

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寺田吉浩代表取締役社長

【加圧IH炊飯ラインの導入】

 米心石川は、おいしく、安全・安心な炊飯米を製造するため、当初から設備と運営にこだわった。そこで選択したのがIH炊飯設備である。「IH炊飯は最適なヒートパターンが組み込まれており、経験に頼らず、炊きムラのないふっくらとしたおいしいご飯ができる。連続式でなく1釜ずつの炊飯なので、多品種少量生産という現代の状況にもマッチしている」と寺田社長は自信を持って語る。事実、2008年の立ち上げ時に導入したのが、産業用ロボットで管理するサタケの「アームラック式炊飯システム(60釜×2ライン)」であった。IH炊飯のメリットに加え、浸漬と炊飯をロボットが一元管理するので搬送設備の削減にも寄与した。炊飯米の売上には波があったが、2017年秋、石川県オリジナルの品種「ひゃくまん穀」がデビューし、おにぎりに使用したことで売上が向上した。ひゃくまん穀はJAグループが力を注いできた品種で、ふっくら大粒で冷めてもおいしいという特長を有している。

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加圧IH炊飯ライン

 販売増と新規開拓先への展開を見据え、生産能力の拡大と炊飯性能の向上を図るため、2022年11月から翌2月にかけて「加圧IH炊飯ライン(72釜×2ライン)」に設備更新した。本装置は、サタケが業界初の「1.2気圧・106℃」の加圧炊飯を実現したもので、炊きムラの減少やおいしさの維持、ドライな環境保持などが特長である。「加圧IH炊飯ラインを導入したが、ご飯に粘りがあり、とてもおいしい。米本来の良さをしっかりと引き出している」(同)と評価も高い。学校給食の現場などでも「冷めてもおいしい」との声があり、手応えを感じている。

【これからの取組み】

 「コロナ禍で自宅での米の消費が上向くと思ったが、そうはならなかった。米(炊飯)は手間が掛かるということも一因だろう。パンならすぐに食べられる。米に関しても、消費者が求め喜ぶものを開発していかなければならない」と、寺田社長は炊飯事業の現状と今後についてそう答えた。現状に安住することなく進歩、改善を求める姿勢が伝わってくる。販売数量の拡大については「県外への販売をしたいと考えている。スーパーへの拡販や、おにぎり・冷凍食品など消費者にもっと食べてもらえる機会を増やしたい。食味の劣化が緩慢で日持ちするものやパックご飯にも力を入れていきたい。要はいかに消費者が喜んで米を食べる回数を増やすか」(同)。米の消費拡大は今や永遠のテーマのようにも思えるが、新商品の開発や簡便性の向上など、商品力強化への不断の努力が大切であることを寺田社長の言葉から感じることができる。

 寺田社長はサタケについても触れた。「今回の加圧IH炊飯ラインの工事、立上げもそうだが、若い人がとても頑張っており、その意味でもやって良かったと思う。歴史があり良い製品を作る会社だとは認識していたが、一所懸命な若い人と組めることが嬉しい。新商品にしてもこれからの若い人に食べてもらいたいので、一緒に商品開発する会議・検討の場を設けたい」(同)。

 米心石川。「米に心を込める」という意味だろうか。だが、取材を通して感じたのはそれだけではなかった。石川県の農産物を丹精込めて作っている人たち、加工・調理する人たち、食べて喜んでいる人たち、そして設備施工した人たち、その多くの人たちと米を通して「真心」で接している。それが米心石川ではないだろうか。寺田社長の言葉、柔和な笑顔がそれを物語っている気がした。

以上


(本リリースへのお問い合わせ: TEL 082-420-8501 広報部)
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